硝子
ジャイコ

 とうめいになりたいとねがった。
 
 かぎりなく、ゼロに近いとうめい。

 
 たとえば、試験管の底みたいな。
 
 たとえば、暗闇に光る街灯のオレンジみたいな。
 
 たとえば、雨上がりの森みたいな。
 
 たとえば、夕焼け空に浮かぶ雲みたいな。
 
 
 
 あなたのそばにいたくて。
 
 とうめいになりたいとねがった。
 
 あたしのことをみとめてほしくて。
 
 とうめいになれないじぶんをにくんだ。
 
  
 
 もう、きたいしないでよ。
 

 
 それでも
 
 にごったわたしは、きょうもとうめいになりたいとおもう。


自由詩 硝子 Copyright ジャイコ 2009-07-14 09:17:21
notebook Home