君の道
うめぜき


5時の鐘がこだますると
夕暮れにゆっくりと宇宙が染み入りはじめた
遠くの子が手のひらを揺らしてさ
どろんこの膝小僧
汚れたての白い軟球
買ってもらったばかりのグローブ
ひとりの

帰り道
 
音が鳴るそのスニーカーで
歩けばよいのだよ
歩けばよいのだよ
君の足音は音楽
君の足音は夕焼け
響きの後には何が残るだろう
わかるかい

ごらん

空に彫られた星の数々、冬の名残
オリオン
シリウス
プロキオン
ベテルギウス

多分ね

ママは泥だらけの君を見て
間違いなくおかんむりさ
でもその肩越しに
おいしそうな湯気が立っている

だから
大丈夫さ
歩けばよいのだよ
歩けばよいのだよ
君の足音は汽笛
君の胸は風を受ける帆
響きの後に、大丈夫、
必ず広がる

やがて

春の朝日が上がれば
君は駆け出してゆく
その先に手のひらを揺らしてる誰か
君の足音は音楽
君の足音は青空
その誰かの手を取って
何処までも走れ






自由詩 君の道 Copyright うめぜき 2009-07-14 00:57:22
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