アイノー
モリマサ公

プライベート
の日記みたいなものを心底必死にねつ造あるいはコンフェッションする
ミクシーとかSNS系の
わりに狭い空間みたいななかに
さまざまなジャンルの人々に公開することについての
その意義とか必要でも必要でもなかったりする

読む人に対しての細かい説明や補足が必要なのはわかる
そのほうがバランスがいい
わかるよ

ガード下の乞食や
それに絡むきちがい
を遠巻きに行くOLに
道路につばを吐くリーマン
に買われるソープ嬢
のお隣に住む宇宙飛行士や
そのリビングの液晶のなかの総理大臣
あたしたちの住む田舎から遠く都会に暮らしてる息子
留学した娘が昨日結婚し
死んでった友人の命日を忘れられず
未来にどうしても出会う人や
過去となってしまった現在たち


毎日が
中途半端なのは
現在進行形だからだ

どっちにしても
あたしは駄目になる
もとよりかたわだ
普通に生きようったって無理が生じる
どこがかたわ?
といわれても今それをさがしてるところ
どっちにしても
あたしが駄目になっていくのは
君たちの手のひらのなかで仔猫が死んでいくようなものだ
とめる事はできない
カルマはカルマだ


完璧な一日だったはずのあの日も
うろおぼえになっていく
感情的な部分だけがおぼろげながら湧く



グローバルポジショニングシステム



今地球上でどこにいるのか
マップを塗りつぶす
たどって来た区画を囲んでいく
グーグルで過去おとずれた場所にフラグを立てる
そこでたどった道の記憶をたぐり寄せる
あの真夜中に光々と光る活気に満ちたパサールや
朝食前に飛び込む豪華なプール
ジャワ島の華僑の金持ちしかおとずれないという高原のスパ
寒色の燃えるように上空を瞬時に行き来するオーロラを見た平原
街はずれまで続くロウソクだけの暖色のひかり
降り立った様々な空港
飛行機でよこぎった景色たち
日本各地に点在するさまざまなみおぼえのある交差点
街にひとつしかない信号機が青に変わりやがて赤に変わる
海を渡り車ごと上陸する地球岬から札幌への道行き
ヘラジカやトナカイ、牛や羊たちが道路を横断している






  


自由詩 アイノー Copyright モリマサ公 2009-07-12 17:40:04
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