もう戻れない
within
輪ゴムを弄んでいたら
ぱちんッと弾けて切れた
がまんして がまんして
耐え切れなくなって
もうやめたッ
自分だけの ひとりよがりを抱え込んで
苛むのは やめにした
閉じていた円は 解き放たれて
一本の道になった
自分の世界だけで 終わっていた言葉を
誰かに聞いてもらいたくて
窓を開けた
気がつくと 随分年を取って
もう若くないけど
一冊のノートを握り締め
道に挑む
先に待つのが 最果てのない砂漠ならば
先に待つのが 凍りついた氷河ならば
先に待つのが 石造りの廃墟ならば
先に待つのが 熱帯の密林ならば
先に待つのが 真空ならば
叫ぶだろう 思いのたけを
その叫びに 振り向いてくれる誰かが
この道の先にいたならば
全てが報われる
ここで老いるか
道端で倒れるか
いつまでも躊躇ってはいられない
弾けて消える うたかただから
もう迷わない
裸身をさらし
夏の太陽に焼かれよう