短冊と落とし文月/魍魎盆踊り大会
海里
数多
霊たちにも
夜店の賑わいは魅力なのでしょう
毎年恒例の
納涼盆踊り大会
恒例という言葉は降霊に
納涼という音は魍魎に通じます
ひとごみに垣間見る
久しく懐かしい人の面影
振り向いても
二度とは見つからないし
追いかけても
見失ってしまうけれど
楽しそうな
楽しそうだった横顔
幸せそうな
幸せそうだった笑顔
花火大会の花火は
素晴らしく大きな迎え火
此の岸からあの岸へ
その岸から彼の岸へ
ふわりと開いて消えて
閉じた瞼の裏にだけ残る
送り火
また来年ね
またいつか今度は一緒にね