かすれた午後の唐変木
ホロウ・シカエルボク





今日は
涼しくて助かる
だけど
俺には行くところがない



降る、と言っていた
雨は
どうやら
降らないようで
洗濯物は干したままでいい
だけど
俺には行くところがない



耳の中に
ストーンズを突っ込んで
ただ
強から中へ
そして弱へ



色を
変えてゆく空を見てる



オー、ラブ・イン・ヴェイン
空っぽの内奥に
よくよく
木霊する
収まりのつかない
イライラする
出来事に囲まれて
むしろ
静かになっちまった



転寝の中で
いびつな夢を見た
俺は古木で
切り倒されようとしていた
呪いをかけたぜ
チェインソーを
持った
県の役員の
心臓がピタッと止まるように



目覚めたとき
最後の日向が
ベランダの
向こうにあった
あー、
わけもなく感嘆符が
ぽろぽろ
ぽろぽろ
こぼれて
俺は
忘れられた歌になった



ちくしょうめ



英雄の死亡が
多すぎるこのところ
拠り所がなくなって
てめえの
貧相なツラばかりがよく見える
放りだせるほど
積み上げたものもまだないのに



神様
そっちに空きはありますか
VIPルームは
満杯だろうけど
もしかあるようなら
予約しとこうかな
何かってわけが
あるわけでもないけど



アイ・ガット・ブルース
いつでもそんな気分
吉だの凶だの
理屈じゃねえんだ
腹が満たされていたって
ひもじいみたいに
泣きやがる
お粥食らうか
飴にするかい
お前の気分を
ハイにするのは
いったい
どんなみやげものだい



そろそろ日暮れだね
重いリズムに
腰でも
揺らしておきなよ



寝っ転がってられるのは
きっと






今のうちだけだから







自由詩 かすれた午後の唐変木 Copyright ホロウ・シカエルボク 2009-07-11 18:37:05
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