小さな楽園
瑠王

僕は虫籠の中で 君と話している


無邪気な網はいつも心たちを翻弄して
突然小さな籠に閉じ込めてしまう

僕らは籠の中だとも知らずに彷徨う
(くるくると)

弄ばれた仲間たちに次々と巡り
いつしか僕は君に出逢う
(君はたとえるなら蝶々かもしれない)


世界の不幸も届かないほど 小さな楽園で
無邪気な運命に導かれて
僕と 君が 出逢う


景色は変わらない
僕は虫籠の中で 君と話している

僕らの丘は慎ましい
でもそれで充分なくらい


しかし 扉は突然開かれる

運命の掌が 再び翻弄する
無邪気な少年は 今度は僕らを解き放つ

僕は虫籠の中で 君と話している
ここで二人生涯を共にすることもできる
だけど 横切る自由の顔を見ぬふりをすることはできない
誰もが無意識に 駆け出してしまう


僕らはさよならも言わずに 
短い命を賭して
小さな楽園をあとにする

世界の不幸も届かないほど 小さな楽園を


自由詩 小さな楽園 Copyright 瑠王 2009-07-11 00:47:17
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