『少年期』
東雲 李葉
日記帳は三日坊主
かすれたクレヨンはもうすっかり乾ききっている
ゆったりと落ちていく夕日がやけに目にしみて
見つからないよう隠れて泣いた
ノスタルジーに心奪われる
鬼のいないかくれんぼ
透明人間になった心地で放課後を駆け抜ける
時代は俊足で通り過ぎていき
日記帳にはいつしか無機質な報告ばかりが並んでいる
ああ、もっと子供でいたかった
見える景色が鮮やかすぎて
痛い痛い もういらない
ああ、あの公園はさびれてしまって
今じゃ人っ子一人いやしない
すべりだいを滑り落ちる僕と夕焼け
高層マンションに阻まれて
細い光の筋だけが泣きだしそうな影に降り注ぐ
誰か、この指とまれ
透明人間の気持ちを取り戻しもう一度息を潜めて隠れよう
必ず見つけてくれる人がいた
あの頃の僕らは幸せだった