外、中、その繰り返し
高橋魚
ゆれると
たおれそうになる
吊り革を握っているのに
空を見ようとしても
天井にぶつかって
視線は戻ってくる
乾いた目の表面から内部をみると
中身のぬけた卵の殻が
遺骨のような卵の殻が
見えた気がした
電車の席は
いつもよりなぜか空いていた
でも
座るわけにはいかなかった
座ってしまうと
もう二度とたてない気がして
椅子の心地よさで
空白は埋った、と勘違いしてしまいそうで
怖かった
心地よさは嘘で
終点、そしてそのさきに行ってしまう気がして
崩れそうな体を
崩さないようにぼくは探している
探している?
新しいひとを?
それとも、きみを?