プレッシャー
nonya


穏やかな朝はかなりヤバイ
いっそどしゃ降りになればいいのに
心地良い風がテンションを萎えさせる
「もう駄目かな」を踏みつけて歩き出す

みぞおちのあたりの不確かな重みが
慢性的な吐き気をもよおさせる
ポケットに突っ込んだ手のひらは
いつもビタミン臭い汗を握っている

逃げ出す術は飽きるほど考え尽くしたけど
前向きで後ろへ進むステップも覚えたけど
だまし絵の水路を泳ぐ不安は
いつも同じフロアを回り続ける

奇妙なゼンマイ仕掛けに支配されて
表情筋を動かすことすらままならない
仕方なく被った愛想笑いの裏側で
麻痺した言語中枢が右往左往している

そんな笑顔で気軽に話しかけないでくれ
これ以上いったい何をやれって言うんだ
キャパシティの器に張られた期待は
奇跡的な表面張力で溢れないだけだから

励ましの言葉なんていらない
どうせ他人事なんだから
もう一度「頑張って」なんて言ったら
ぶん殴ってやる


自由詩 プレッシャー Copyright nonya 2009-07-09 17:56:01
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