白い炎
乱太郎

 
透きとおるような青い瞳を閉じて
月明かりをよそに
思索する空
道標を失った者たちの
無数の悲しみが白い炎をあげて
燃えている



どこにも行けないという絶望を
焚き木にすら出来ずに背中に担いで
ここしかないという諦めを
飼い猫の餌に混ぜてみる
喜望峰を越えた船団はここにはない
辿り着けない夏



寝静まった公園で
汚れたベンチに腰かけながら
独り聞こえない口笛を吹いていた
未来は絶対零度の流動体のように
空の脇を這っている
勇気のない僕は掴むことが出来ない
だらしなさと無力さ
投げ出された春



蝶が舞う
こんな夜更けに

舞うはずのない蝶が舞う




自由詩 白い炎 Copyright 乱太郎 2009-07-08 19:29:54
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