願いごと
青の詩人
洗い立てのシーツに寝そべって見上げた残像は
なぜかいつもやわらかな笑顔でした
余韻にしては強すぎて 写真と呼ぶには曖昧で
水のように 焔のように とけてゆきます
残された絵の具だけで空を描いておりますゆえ
遺跡のような雲ばかり浮かべてしまうのです
この夏のどこかに あなたが今もいる気がして
映るほどたしかでなくとも ふれるほど近くはなくとも
影のようにずるくとも 風のように気まぐれでも
その匂いに包まれてしまいたくて
洗い立ての髪が夜を夏にしてゆきますので
顔のほてりがあの日からとれないのです
もう一度 あなたに逢いたくなるのです
遠くで人の笑う声がします
火薬の最期を犬が教えてくれました
リフレインは詩の宿世だと思い知りました
もう一度 あなたに逢いたくなるのです
天の川はもはや笹舟であふれています
もう一度 あなたに逢いたい