願いごと
青の詩人


洗い立てのシーツに寝そべって見上げた残像は
なぜかいつもやわらかな笑顔でした

余韻にしては強すぎて 写真と呼ぶには曖昧で
水のように 焔のように とけてゆきます

残された絵の具だけで空を描いておりますゆえ
遺跡のような雲ばかり浮かべてしまうのです


この夏のどこかに あなたが今もいる気がして


映るほどたしかでなくとも ふれるほど近くはなくとも
影のようにずるくとも 風のように気まぐれでも
その匂いに包まれてしまいたくて


洗い立ての髪が夜を夏にしてゆきますので
顔のほてりがあの日からとれないのです
もう一度 あなたに逢いたくなるのです

遠くで人の笑う声がします
火薬の最期を犬が教えてくれました
リフレインは詩の宿世だと思い知りました
もう一度 あなたに逢いたくなるのです

天の川はもはや笹舟であふれています
もう一度 あなたに逢いたい


自由詩 願いごと Copyright 青の詩人 2009-07-07 02:15:10
notebook Home