掌と時
遊羽

小さく開く掌のまだ柔らかい皺ひとつ
時の過ぎるにいつの日かまめのいくつもつき始め
年輪の如く物語る人生まだ語るに足らず
そっと包んだ我の手の汚れは二度と振り消せぬ

白いその手の包むもの 広い世界に伝え行く
今は小さな掌がいつかは明日を引っ張って
迷い知らずにこの世界開いて前へ突き進む
小さく育つ白い手に見える明日は限りなく

そっと包んだ我が手には届かぬ未来も見えるけど
小さなこの手いつの日か 時代を開き育ち行く
望みを継いで手に入れろ 憧れ胸に追い求め

まだ開かれぬ将来の夢が虚ろに漂えど
いつかはそんな夢さえも 昔の事と変わり行く
幾つもマメを身に纏い 明日の希望を追い続け


   
#七五二歩調ソネット 初稿:2000年


自由詩 掌と時 Copyright 遊羽 2009-07-05 01:58:29
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