タンポポ
未完
胡蝶蘭に憧れたタンポポは
花びらが日焼けしないように気をつけたり
たくさんの葉はいらないと減らしてみたり
そうして思いきりパァと咲いてみたら
やっぱりタンポポでガックリした
せめて高い位置から世界を見ようと
一生懸命に背伸びをしたけれど
どうやっても同じ高さにはなれなくて
がんばっても花屋さんにはいけなくて
タンポポはボロボロと泣きだした
泣き疲れて顔を上げると
立派な胡蝶蘭から声をかけられて
ひっくひっくと返事をしたけれど
大きな鉢に植え替えられた胡蝶蘭は
「さようなら」と出て行った
淋しい気持ちを抱えて空を眺めていたら
タンポポの高さまで顔を下げてくれる人がいて
タンポポは嬉しいのに顔を背けてしまった
「そのままでいいんだよ」
その言葉が嬉しくてはりきって綿帽子になった