タンポポ
未完

胡蝶蘭に憧れたタンポポは
花びらが日焼けしないように気をつけたり
たくさんの葉はいらないと減らしてみたり
そうして思いきりパァと咲いてみたら
やっぱりタンポポでガックリした

せめて高い位置から世界を見ようと
一生懸命に背伸びをしたけれど
どうやっても同じ高さにはなれなくて
がんばっても花屋さんにはいけなくて
タンポポはボロボロと泣きだした

泣き疲れて顔を上げると
立派な胡蝶蘭から声をかけられて
ひっくひっくと返事をしたけれど
大きな鉢に植え替えられた胡蝶蘭は
「さようなら」と出て行った

淋しい気持ちを抱えて空を眺めていたら
タンポポの高さまで顔を下げてくれる人がいて
タンポポは嬉しいのに顔を背けてしまった
「そのままでいいんだよ」
その言葉が嬉しくてはりきって綿帽子になった


自由詩 タンポポ Copyright 未完 2009-07-03 21:34:11
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