生える
nonya

コンクリートの舗道から
唐突にはみ出してしまった
名も知らぬ草

引き千切られても
踏みにじられても
へらへらと風に揺れている

雑草になりたい

生えることだけを
考えたい
光合成することだけを
目指したい
隣りのフェンスに巻き付くことだけに
集中したい
ささやかな花を咲かせることだけに
憧れていたい
密かに種子をばら撒くことだけを
企みたい
やがては土に還るなんて
知らなくていい
真っ直ぐに成長することだけを
夢見たい

青く晴れ渡った昼下がり
太陽が南中した瞬間を
永遠に実感することができるDNAが
欲しくてたまらない


自由詩 生える Copyright nonya 2009-07-03 19:07:45
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