世界のレコーダー
フミタケ

木漏れ日でさえ怪しい
都市公園の上昇気流
ふとした事で命までこぼれ落ちそうな
緑色の揺らぎに憩う
休日の人
光はまっすぐ反射を繰り返し
曲線を描く
もうちょっと明日から僕は
ちゃんと生きようと思います
おざなりな事ばかり言う
部屋の中はいつだって
腐りかけの匂いがしてるから
出かけるばかりの僕をアクティブだなんて
お笑いだ
時折吹き込む空気の匂いが
やがて哀しい記憶になっていく
大人になるまでに
めぐってくるその夜の匂い
に気付かないふりをする僕を
あの娘は悲しむけど
そんな人がいてくれることは
哀しい事じゃない
哀しみと哀しくない事が
風邪薬の小瓶をチャラチャラ
中途半端な速度で劇薬
本当に速い言葉は流れる水
科学者がナチョスを大量に買い込んでいく
去年の花々は消え去ってしまった
今年の花々は去年の花々のままで
僕の心象にに生成している
一切の思いは最後に死にたどり着く
今すぐ僕はきめられない
ひどく重要だって声がなぐりつけてくる
きっと僕は死ぬまできめる事が出来ないんだろう
どちらを選んでも何を選んでも
何かを得て何かを失う
哀しみと喜びが席を入れ替える
たとえばそんな夜に
「アクロス ザ ユニバース」を歌ってくれよ
nothing gonna change my world
コンピューターには1670万色
色見本長には1100色
でも世界は1670万色でも1100色でもない
奇跡の核は純粋さ
そして世界にはいろいろな形の純粋さがある
すべての色を見る事は絶対に出来ない
空は薄曇りから雨模様
きっともうすぐ鰐が降ってくる
まるで知らない街でそうするように
新宿駅で君をさがしてみたりするんだ
満たされたいときに
癒されたいって言ってる
ダブルバインドの当事者
を回避できないで
嘘ごまかしがない美しいものに
僕たちは癒されるんだって
僕のキスは
君を癒せるだろうか
僕の情熱は
君の未来を変えるだろうか
記憶に刻み付けるもの意外
何ものこさない
世界のレコーダー
大切な人が自分のために作ってくれたもの
であれば
形が多少いびつでも
その価値を損なう事にはならない
森の中へ分け入って迷ってしまったんだと泣く
道のない森の中で泣いているの?
ごまかしも嘘もない森の内蔵に
見入り 聞き入り
葉脈のように
不揃いさを取り戻して
バンドがやってる間
詩人が読んでいる間
僕はずっとあの娘の事ばかり
あの娘の事ばかり横目で気にしてる
愛するよりも愛されたい君は
心のない女
愛されるより愛したい僕は
愛のない男


自由詩 世界のレコーダー Copyright フミタケ 2009-07-03 00:25:32
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