夏の宵
月乃助

端より 染まる
ひと刷け ひと刷け 
うっすら
あかね終わるそらは るいるい
夏の夜に
開く

つくばう宵やみに 
ゆかたの えりを
赤裸な
きみへの
ほてりが すべり落つ

ひがしの天に 白鳥のはがねの 
羽のね
月を蝕し
すました尾の先に
青くともし 

うつむくあたしの
まっすぐにもえ立つ
夕顔に
デネブの
青い宵が落ちる

夜のとばりの星明かりを
はこぶ 風さえ
ひとひら ゆかたの大輪の
芥子は
花びらを そっと揺らめかせ

酔わせるあたしに
宵風がまた一つ
紅さえ ひかぬ くちびるを
くすねていった



自由詩 夏の宵 Copyright 月乃助 2009-07-02 12:44:40
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