空色の風船
小川 葉
縁日で
祖母が買ってくれた
空色の風船が
手のひらを
するりと抜けて
空高く舞い上がっていった
東の空へ流れていく
風ははるか上空
西から東へ吹いている
お日様とは逆のほうへ
未来から過去へと
風は還ろうとする
空色の風船が
東の地平線へ消えていくのを
泣きながら見届けた
わたしの頭を撫でてくれた
祖母のやさしい手のひらを
見届けなければならない
その時が来ることなど
想像すらせずに
夕暮れになると
待っている
あの空色の風船が
西の空からあらわれて
目をつむると
遠い空を過ぎていく
やさしい祖母の手のひらが
わたしの頭を
撫でてくれる気がして