空色の風船
小川 葉

 
 
縁日で
祖母が買ってくれた
空色の風船が
手のひらを
するりと抜けて
空高く舞い上がっていった

東の空へ流れていく
風ははるか上空
西から東へ吹いている

お日様とは逆のほうへ
未来から過去へと
風は還ろうとする
空色の風船が
東の地平線へ消えていくのを
泣きながら見届けた
わたしの頭を撫でてくれた
祖母のやさしい手のひらを
見届けなければならない
その時が来ることなど
想像すらせずに

夕暮れになると
待っている
あの空色の風船が
西の空からあらわれて
目をつむると
遠い空を過ぎていく
やさしい祖母の手のひらが
わたしの頭を
撫でてくれる気がして
 
 


自由詩 空色の風船 Copyright 小川 葉 2009-07-02 02:36:02
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