夏至
あおば
野猿峠を下って
密林を切り開き
古びたドアを開け
喫茶ブラジリアに坐り
小田急線梅ヶ丘駅前で
手負いの猪を屠る
止まらない電車の中では
ロココ風の川獺を飼う
夢のような話を審議して
生まれたばかりの議会に諮る
それからは
チンパンジーの大好きな
バナナの皮を丁寧に敷き詰めて
大通りを美しく飾ってから
滑り具合を確かめながら
笑顔で死んでゆく兵士達を
通りすがりの駅前公園で
見送ったあかるい夏至の雄勁
くじらのような雲がわきあがり
餓える心配はないとわめいている
自由詩
夏至
Copyright
あおば
2004-09-04 10:40:06