距離
nonya
向う岸めがけて石を投げる
不様なフォームで
何度も 何度も
自分の何処かにへばりついた
決して懐かしくない想いを
危うげな放物線に託して
思いっきり放り出す
届いたことはない
届くはずもない
一瞬だけ風を壊した飛礫は
思い込みの手前で失速し
世にも情けない水飛沫をあげる
たったひとつの物差しで
距離を計ろうとしていた
麻痺した距離感は
大事な人を傷つけた
向う岸めがけて石を投げる
不様なフォームで
何度も 何度も
失われた距離を
嫌というほど思い知るために
届かないという事実を
息が切れるほどいとおしむために