文鳥
北村 守通

文鳥は
  帰ることができませんでした

    あんなにうとましく思えた
    ステンレェスが
    今では
    こんなにも
    いとおしく想えるだなんて

文鳥は
  飛ぶことを止めました
  
    あこがれの空は
    どこまで行っても
    飽きることのない
    あこがれでしかなかったのでした

文鳥は
そして
  歌うことも止めました

    だからといって
    食事にありつけるわけでもないのですし
    ならば
    いっそ
    無駄は省くべきなのです

いっぱいになったので
考えることを止めました

  文鳥は
  じっと
  じぃっと
  瞼を閉じて
  枝に座っておりました


自由詩 文鳥 Copyright 北村 守通 2009-06-29 01:26:42
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