真夏日
nonya
キラキラしない雫が
後頭部の歪な曲線を
未練がましく伝い落ちて
塩辛い影を作っている
無頼な陽射しと
馴れ馴れしい湿気に
言い返す言葉もなく
帰り道の上をボトボト歩く
いくらハンカチで拭っても
滲み出してしまうのは
厚化粧させた記憶の欠片
いつまで罪人ぶってるんだろ?
焼けたコンクリートの上で
信号機がギブアップすると
人も車も溶けて流れ出す
焦げた思考だけ置き去りにして
逃げ込んだカフェの隅っこで
アイスカフェラテ一杯の執行猶予
グラスに汗をかかせながら
途方もなく遠い目をしてみる
僕の夏はもう
とっくの昔に
終わってしまったというのに