午後とまなざし
木立 悟







かろうじてつながる
陽のなかの骨
白い壁が
歩き出しては消える
花の匂い
花の礫を残す


空より長い
影の上をゆく
ときおり丸い
鳥の火の音


ゆるやかな分かれ道
緑おおう黄
行方の灰に
まなざしは鳴る


見果てぬものの
かけら かけら
器ふたつ すぎる向こう
黒髪 黒髪
風をよぶもの


氷の下に敷かれた紙に
いつのまにか爪はあつまる
ゆらめきを見ないゆらめき
霜を吸う蝶の口


丘の上 逃げ水
火照りは去らない
曇を通り 人へ帰る
待つもののない道をゆく























自由詩 午後とまなざし Copyright 木立 悟 2009-06-26 19:39:32
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