独立記念日
月乃助
壮麗な楽の音と雑踏の期待
たった一つがために交差する
潮風のとりつく喧騒に
独立記念日の夜を迎える
高らかに、いわえ
いわえ、高らかに
確かめ数を増してきた歴史の顛末をあかし
未だに定まらぬ植民地 < 連邦参加国
の、薄衣の肌をぬぐう
夕陽の愛惜を消し去った入り江の港は
耳をさく、光の弾ける時を探る
市井、
海猫が、波に遮光を影する
鳴き声は、高らかな祭典の開始の合図
「撃ち放て、夜空」
闇を彩る
今宵だけは切り離された夏の夜
大輪を咲かすあまたの花火の炸裂に
身を焦がし
火の粉に散り去った者達の想いを焼きつける
独立の辛苦に夜空を仰ぎ
自由を誇れ、旗を翻せ
独立記念日の賑やかな祝いの夜
港の民は花火の祭華に享楽の顔を染め抜いていく