耳もとの代弁者
FUBAR

摩訶不思議な自然にぐるりと包囲されて
板ばさみ
三分の一
いや、二分の三

なんだか無性にガリガリ君が食べたくなってきた、と言って
わたしはわためかな、と返して
あの雲はきっと竜の巣だと笑っている
笑いが声にのっからない
きっと
ひどく不細工な顔をしているんだろうってことぐらい
わかっている

ちぎって
はらはらはらはら
むしって
はらはらはらはら

紫外線よりもずっと痛いもの
額に青白い手の甲をひっつけて
空を隠してしまいたい
雲を消し飛ばしてしまいたい
制服をひん剥いてやりたい
目の前で見せつけてやりたい

校門で駐輪場
昇降口で階段
廊下で教室
中庭で校庭
体育館で放送室
いつもあふれる汚濁を飲み干して
いつもふんわり抱擁してくれる
耳もとの優しい代弁者

あらためてはっきりと悟ったこと
やっぱりもぐらがいい
なんとなくわかったような気がしたこと
ひとを殺してしまうピエロの気持ち

ちょっとコンビニ行ってくるから買ってきてあげる
わたあめは無理だけど
笑顔で立ちあがり
なるべく優しくお尻をはたきながら
ちぎられて
むしられて
ばらばらばらばら
ばらばらばらばら


自由詩 耳もとの代弁者 Copyright FUBAR 2009-06-25 02:47:31
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