遊園地
ふるる

うるう年に生まれたので、四年にいっかいしか年を取りません
目下のもくひょうは人類平和のために
ごはんを残しません
となりのおじいちゃんが言いました
戦時中はこんなぜいたくはできんかった
おじいちゃんの言うぜいたくは
すごくふつうのことです
ふつうじゃないのがぜいたくかと思って
えんそくに行きませんでした
ぼくはひとりでふうふう言いながら丘を登りました
それからおにぎりを食べて
古い遊園地にいきました
遊園地ではハトのふんが雪みたいで
雪の日に出ていったおにいちゃんを思い出しました
ぼくは汗をぬぐって
ハトに持ってきたたくさんのパンの耳を投げて
どんどん沈んでいく夕日を見ていました
おにいちゃんはあのへんにいる気がすごくします
ぼくの目下のもくひょうは人類平和ですが
どうしたらいいのかさっぱりわかりません
ぼくたちがいることがもう
かなりのぜいたくなんだって誰かいいます
遊園地には何でもありますが
人類平和には関係ないみたいで
ハトはふんをしまくるし
誰もいないのに
とつぜん観覧車はうごいていて
ゴーカートはうるさくて
音楽もでっかいし
電飾もすごすぎる
回転木馬に乗ると
ぼくひとりで
ぐるぐるまわりはじめ
いつまでも乗っていていいらしく
夕日がもうぽっちりで
ずんずん暗くなっていく
ぐるぐる目がまわって
きゅうに年とったみたい
門が閉じる音が聞こえる
帰る道がわからない

あ、おにいちゃんだ
あ、おにいちゃんが落ちた

回転木馬の顔がこわい


自由詩 遊園地 Copyright ふるる 2009-06-24 14:51:20
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