凛と
ふるる
夕暮れは冬の茜色
窓辺にはバラ
ひとつひとつ、凛と咲いている
病人のひどい言葉を
なかなか許せないでいた
自分のことはすぐに
許すのに
さっきまでは
持って行こうと思って買ったのに
窓辺に飾ってしまった
花屋のバラには棘がなくて、いい
安心して触れられるし
しっとりとやわらかい花を手で包んで
ぎゅっとしても拒絶しない
ぎゅっとしたくて
焦っていたのかもしれないな
だって
もうほっといてよ、なんて、言うから
だからもっと泣かせたら
すがり付いてくれるかもなんて
それが雪崩で倒れる大木のようでも
耐えられる自信があるのにさ
夕暮れは冷たい薄紫
窓辺にはバラ
棘のないバラはいいけど
棘のないバラを
好きになったわけじゃないんだ
今ならまだ面会時間に間に合うから
ちゃんとごめんねを言って
またやりなおせるかな
僕もきみも、
元気でもそうでなくても、
ひとつひとつ、凛と咲かなくちゃなんだ