夏の陰
within

朝、晴れた日に空き缶を洗っていると
庭に群生する雑草の命の横溢に圧倒され
水遊びをしながら裸で駆け巡る稚児たちの嬌声に
私の心も浮き立ち
自らの空白を忘れてしまう

先程まで生きていた彼らはどこへいってしまったのか
真空の穴ぐらが彼らの不在を証明しているのに
僕の心は証明の証明を繰り返す

もう彼らがいないことはわかっているのに
その空白が小さくなろうが
そこにいないということから
目を背けることができない

駆け巡る稚児のように無傷であった頃に戻れたなら
僕も路上を裸で走り回るのだろうか
しかしもう彼らが私の面前に現れることはありえない
やけに緑が目に沁みる


自由詩 夏の陰 Copyright within 2009-06-24 11:57:46
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