森のぐっぴい
あすくれかおす




森色の匂いがついてる木漏れ日に「ぐっぴい」と娘名前をつける


由々しきは森を這い出て森に似た住居をあがなう罪の深奥


常しえに遊ぶ子らの基地宿す森あざやかに日々よ集え息して


デザインの授業で森林浴をする自由に休めと拘束されて


(ぐっぴいが森にかえりたがったらどうするの?ねえぱぱ。ちゃんと答えて)


レコードに梁から木っ端が落ちてくるくルくルと森の記憶が唄う


人生が超さみしくって森で寝た恋したまんまの死体みたいに


森がつく名字の女をかき集め鳥取砂丘に強制移住


それはだめ砂丘とり子(すなおかとりこ)がゆるさない砂上の楼閣守る婆さん


山奥のメリーゴーランドまわります森森小リス鳥森お前


ニンゲンの寝起きのあぶくを抽出し隠者の森でつくる眠剤


核シェルター入らず森で生きてくと告げた彼女の末裔のサル


なんじゃこりゃ繁茂占い?「いま君のおいしげり度は森くらいです」


画家の名はフィンセント・パブロ・アルバート・シュトラウス・ヨハン・森田善吉


「冷蔵庫に森を冷やしてあります」はバウムクウヘンのときの書き置き


街に降りいつしか3ナンバーを目で追う森の人は視力をなくし


(たとえ今この星ぜんぶの森の木で舟を作ってもぐっぴいちゃんは)


照れ笑いみたいに光がさす場所でファーストチュウよ、と笑う森さん


森が息してるみたいな横顔で君が吐く嘘はふかくやさしく


身勝手なへべれけや今日のぷわぷわを生真面目に森に投棄しないで











短歌 森のぐっぴい Copyright あすくれかおす 2009-06-24 07:33:56
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