「魂の授業」
ベンジャミン

わかってる

魂を教えることはできない
そもそも
魂を教えることはしない

精神論で支えられる部分は
言葉から受ける印象ほど広くない

それでも
教えるというところに
ひとかけらの魂があることを

知っている

たとえば砂漠に
一本の木を植えること
一度にたくさんの木を植えても
それは順番に枯れてゆくだろう
当たり前のこと

水が足りない
はるかに広げた大地に
一本の木を支えるだけの水さえ
与えることができない

教えるとか
与えるとか

そういう言葉を口にすること自体が
僕自身を責め続けている

毎年何人かの生徒が泣く
出来なくて泣く
わからなくて泣く

その涙の一粒を
無駄にしてはいけないと思う

そこには確かに魂が在る
まだ小さい幼木のような魂が在る
広い砂漠の真ん中で
水を求めている

枯らしてはいけないと思う

そのために何ができるのかを考えるとき
そこにきっと僕の魂がある
あの幼木と同じほどしかない魂が在る

ともに成長し
ともにわずかな水をわけあう
二つの魂が在る

精神論で支えられる部分は
とても限られている

わかってる

けれど魂は一握りの自信となって
広い砂漠に緑のきっかけを生む

知っている

自分に出来ることの小ささを
それでも
出来ることが在ることが嬉しい

ともに成長し
ともにわずかな水をわけあいながら

そしていつか
そう遠くはない未来

僕のそれをはるかに追いこした姿を
見せてほしいと願っている


自由詩 「魂の授業」 Copyright ベンジャミン 2009-06-23 13:06:00
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