おい イタル
オイタル

 おい
 イタル
 たかこぎするべ
 といったら
 うん
 というので
 チヨオ
 しんぱんしろ
 といったら
 うん
 おすなよ、うしろから
 ぜったいに
 うん

陽に連なる潅木
むしられた雑草
青空を見渡してポプラは高く枝をゆすり
根元に小さな人影が二つ
しゃがんで地面を掘る

ついさっき 半そでの
開襟シャツの子が
ブランコを大きくこいで
ずいぶん笑っていて
それから
入道雲へ消えた

少しずつ老いていく少年たちと
もう年は取らないという少年とのあいだに
ブレーキ音が長く
長く引かれていく

 おすなって
 だって
 チヨオ さわっただけだ
 ずるだからな
 もうぜったいあそばねえぞ

 いいからこげよ
 うん
 もっとこげよ
 うん

 なくなよ
 うん


自由詩 おい イタル Copyright オイタル 2009-06-22 12:08:40
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