歳月記
モコ



「賤吏を甘んずるを
潔しとしなかった」


どうしても
納得がいかない
自らを前提と考えていたから

想像を超えた世界は
悔しくて苦しくて
このままいくといつかきっと
虎になってしまいそうで
いつか自分ってものが
いなくなってしまいそうで


自らを甘んじていた
部分があったのは確か
人は誰でも自身を可愛がる
そんなものだから

それでも今を生き
後世を生きながらえる以上は
人はほんの少しでも
最上位でありたいと願う
そうでなければ
何の為に今を生き
後世まで生きながらえるのか
欲すれば理由がない



自尊心をもちすぎている
のかもしれない

羞恥心が心のどこかに
あるのかもしれない


どんな理由でさえ
賤吏に甘んずるを
潔よしとしなかった
勝手な空想ながらも
何故自分ではないのかと
何度も首をかしげた
全てを知ったあの日
一瞬虎にもなった



今だって相変わらず
心のどこかにある
賤吏ではない
他の誰かを見る度に
心臓を握られたかの如く
強く強く締め付けられる
でもそれは逆からして
まだ諦めていない印となる



その感覚が
魂の中に宿り続ける限り
諦めると言う有効期限は
朽ち果てることない
たとえそれが偽りであっても






自由詩 歳月記 Copyright モコ 2009-06-20 17:41:10
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