はずれ ひかり
木立 悟






うすめられ 重い
緑の水
咽の狭さ
滴の擦る音


昼の天体
気づかれぬ祭
諌める仕草に揺れる
河口が海へ捧げる花


けむり ざわめき
あふれ出る影
膝をついた目線に
ひろがる道


こがねの硝子に
触れるものも無く
ただ午後のまま
息を吹き込む


文字ではなく
意味ではなく
音の順に現われる
銀の言葉
弦の言葉


雨の夜
明かりのない坂の上に
光は大きく
熱は小さい


足の小指の遍歴
音のなかの柔毛
街をすぎる
路地を梳く


たくさんのうちのひとつが終わり
別のひとつの行方がひろがる
まばたきの昼に照らされて
夜は海へ漕ぎ出してゆく


緑が緑のはじまりに立つ
さわさわと戸惑う
幼い笑みになりながら
かかえきれぬ花を
かかえるものになりながら


























自由詩 はずれ ひかり Copyright 木立 悟 2009-06-20 09:18:41
notebook Home 戻る