グラビアビースト
丘野 こ鳩


くるね
月面から
なんだかくさいものども
薄くのびっぱなしになった
水の網が
どぼどぼくるね
泥水を渡って
めんどうなからだを
しょって
がやがや
くっちゃべってる
たのしそうに



ゆくひとくるひとかえるひと
落下した
くる ぶしッ・ 
めくるシーツの
おろしたての地平線
横切って滝壺めがけながれる
ヴァニラプール
ひととひととひとが
・ いる
手荷物を、お引き下さい
くびが、しまります

ぎゃあぎゃあ
鳴いてるきらめき、
こまかにひっかき
何重にもくすまして、
ぶらーんぶらーん
朝の公園に立ち尽くすのにも慣れたよ 
 ((シッ
やあ また会ったね
すっぱいぶどう野っぱらでしゃぶってんの
わるく、ない、で しょう
町を泳ぐありさまが
すっかりぼうふらだもんな
すらすら
抜ける
ゆくひと
くるひと
かえるひと・

とてもいい いじくり
みずからを手放すとき
かげろうのなかを
ミドリ野がいつも 
すんでいますように
喉を
鳴らしては
それから
たましいは
ほしがっチ、
ひろがっチ、
(皿に載せてまわしてみたらとろけちゃってあたりかまわずひっつきました
皿に載せてまわしてみたらともだちひゃくにんなんだろう

薄い網のような広がり
滝壺
水は、流れるなあ
ミネラル
ずっと乗りっぱなしで
ふれば
ふっただけ
くたびれるんだから

(わりあい
(すぐに、
ものわかりのよいきみが
ものわかりのよさだけで
すべりこむ
(まだ、お世辞の、とちゅうでしたが ……
(いい匂いのする、霧の話の、前でしたが ……
裸になって
ぜんぶ
みせてくれたので
めんどうな
思い出話も
めんどうな
きみの名前も
被らないですんだけど
うえ
おええ って
おしつけられる
人間のおもたさ

 めんどうな、裸を、していますねえ、鎖骨らへんから、変な、癪な、高い音、だすし
 寒いおへそに短い指をさしこんでねじる うえ おええ 
 いから ないでね
 とさか たてない 
 ほそい指は
 こどもの
 歯だね
(ああ)
 ゆび
 きった

ぽたぽた
しみができる
前が
どんどん暗いのは
きみがよだれたらして
退屈しのぎに
ひっかくせいだよ


きれいな
どろのあそび
袋もって
みんな
みんな
花に
なった
穴に
なった
くさい 
くさい
なんだか、くさい
いやだ
いやだ
ヒトみたいよ
まるでずっと
ヒトみたいだよ

黒い渦から
白い匂いを醸す
彼女は終電です
なかが寿司詰め
ひととひととひとと
よこにたおして
ぼうとした熱で
冷たい声を
とおくに
投げる
ファウル
夜のベンチが
ぶるぶる震える
そんなに悪いところではない 
ただ 目が 悪い
いまみえるもの
みえたら
さわれるもの
さわったら
袋にいれる

穴になる
滝壺 が、
終電 が、
 おほしさま


空き缶
投げたら
月面
散歩には でないの
でますよ そのひとすじに
すがるのだもの











自由詩 グラビアビースト Copyright 丘野 こ鳩 2009-06-19 23:27:40
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