素敵な風景
ふるる

うわあちょっとすごいじゃない
もうこんな素敵な風景に
すぐさまさるぐつわをかませ
何もしゃべれなくするんだ

そして静かに、静かに

風景が
あたしの中に
満ちる

まで

ああ
いま触った湖は
お風呂場の床みたいに
つるっとしてて冷たい

風が追い風
どんどん押してくれたら
山の上まで行け、
振り向かない
星がざらざら見える

星座って明るいのが見えてるだけで
星同士に何の関係もない
めちゃめちゃ離れてるわけ
でもどうしたって三次元を二次元に見てしまうわね

だって、
あのひとにだって内臓や脳みそあるんだけど
全然意識できないし
表面しか見てないわ
昨日の午後何してたかなんて
時間まで加わったら想像つかない
あのひとも確かに空間を占めて
空間を動いたりしているんだけど

今あたし達って
めちゃめちゃ離れてるわけ
でも二次元で見れば問題ないか
漫画だったら
隣同士のコマに描いてあるかもしれないもんねえ
あいあい傘とかさ

今この素敵な風景の
あたしは点だけど
あのひとも知らないし誰も知らないんだから
確かにいるんだけど
いないみたいなもんよね

二次元どころか
どこにも属してない・・・・

ああもう
おしゃべりなのはあたしの方だよね
黙るわ

そして静かに、静かに

あたしが
風景の中に
満ちる

まで

・・・・・


自由詩 素敵な風景 Copyright ふるる 2009-06-19 22:56:40
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