グルーオン
AB(なかほど)
この世の全てに
いくつかのちからがあります
弱いちからと強いちからと
まだ見つかっていない重力と
あとは、
みなさんが考えてみてね
と去ってしまった先生、
僕らはうなずいたままです
絶対
という言葉を嫌う君が
変わらない愛を要求する
変わり続けてゆくことだけが
変わらないことだということも
教えてくれたのに
先の見えない時代だから
幸せなことを探している
かわいい、とか
あいらしい、とか
そんな言葉を探している
そのうちに
もう
きれぎれの息の中で
見えているいつかのえくぼややえば
いつの間にか
遠くの遠くの世界へ行ってしまった
と思っていたのに
こんなに近くにいる
生まれ来るときに
にぎりしめていた全てを捨てて
開いたその小さな小さな手のひらは
全ての世界につながってゆく
僕がそうしたように
君がそうするように
大きさの決められたいろがみに
あふれるほどにふえきのりを塗って
安堵の笑顔を見せて
グルーオン
無意識のうちに
見えないちからを信じ続けているから
全ては
同じちからでつながっているのだから
還るところは
ひとつであって全てであって
グルーオン
不確かな
見えないものを愛することで
少しでも優しくなれるならば
その弱くて小さな小さなちからを
包むように
包まれるように