それは鈍く長く
ウデラコウ

君がいない朝の曇天は
なんて気分の悪いものなんだろう

このままずっと君のにおいがかすかに残るふとんにうずくまって
もう一度君があのドアを開けるまで目覚めずにいたいのに

非情にもアラームは鳴り響き
ゆとりの後輩たちは ここぞとばかりに追い打ちをかける

君と一緒にいるときはどんな時間でも瞬く間に過ぎるのに
今日は時計の針も人も空も空気さえも
全てが鈍く 長く 緩慢に 流れて

これなら時の流れさえ掴んでしまいそうで

さっきから時計の針は一周すらしてないのに
お菓子の袋はどんどん積み重なって 仕事は一向に進まなくて

修正テープでも消しゴムでもなんでもいいから
自分の存在を端からゴシゴシ消したくなるよ 君がいないだけで

本当の本当に 弱いんだ 僕

君はわかってるつもりかもしれないけど
それ以上に どうしようもないくらい 弱いんだ

潔く流れようとしない時に沈んで身動きがとれなくて
だけど
君を呼ぶ 勇気もなくて

君の一日に少しでもいいから 僕をねじ込みたくて
だけど
そんなおこがましいこと できそうにもなくて

ただ 鈍く長い 時間に結局今日も とらわれたまま


静かに 君だけを 祈る




自由詩 それは鈍く長く Copyright ウデラコウ 2009-06-18 18:01:18
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