見上げたのは同じ空
こめ

ある赤ちゃんは公園で

暖かい風に吹かれながら

ベビーカーから見える青い空を見上げる

ある幼稚園児は

ジャングルジムのてっぺんから

人より少し高い所から

雲がゆっくりながれる空を見上げる

ある小学生は放課後のグラウンドで

友達とサッカーをしながら

茜色に染まる空を見上げる

ある少年は自分の直ぐ横を流れる

弾丸を聞きながら黒く重い銃を持ち

血に染まった空を見上げる

ある少女は小さな手で

優しい母親の手を精一杯握り締め

二人で落ちていく夕日を見上げる

ある父親はギュウギュウに詰まった電車から

疲れながらも家族を思い

そして夜空を電車の窓から見上げる

ある学生のカップルは雪が降る公園で

かたを寄り添い互いの愛を噛み締め

ロマンチックな夜空を二人で見上げる

ある老婆は縁側から見える

無邪気に遊ぶ元気な孫を見て

安らぎを感じ空を見上げる

ある社会人は雨が耐えず降り注ぐ

ビルの屋上で今から飛び下りる

遠い地面を見下し

絶望に支配された絶景の

暗く一寸の光もない

最後に見る空を見上げる

ある学生はつまらない授業に

舟を漕ぎながらめんどくさいなと呟いて

飛行機雲が線を描く

真っ青な空を見上げる

僕は誰もいない道路の真ん中で

星を掴みたくて一生懸命ジャンプしながら

このどこまでま広い広い星空を見上げる

この全ては同じ時間に見上げた同じ空

この広い地球っ唯一全てを見ている空の下で

僕らはまた同じ空を見上げていた


自由詩 見上げたのは同じ空 Copyright こめ 2009-06-18 00:01:49
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