黒蝶原
瀬戸内海

四人の賢者が廻り行く
指さす道は捨てられて
先の野原も捨てられて
流れる大河も捨てられて
小さな家も捨てられて
やがて大地は消え去った

あの日別れたあの人の
遥かはかなな歌声が
雨の匂いに目を覚ます

忘れ去られた幻想は
光となって君を手招く

遠く陽炎ゆらめく町の灯は
潮騒となって君を抱く

高く空を埋めるのは
絢爛なまでに清楚な一輪

ああガンジスは雄弁に
ああガンジスは寡黙なまでに
悠久の歌を奏であげ
今の都に灯が燈る


自由詩 黒蝶原 Copyright 瀬戸内海 2009-06-17 23:11:47
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