ヒナゲシの頃
伽茶

父が死んだ


些か早い気もしないが


今は小さな白い灰でしかない


小さい頃は


父と網を持って蝉ばかり捕まえた


その後50円握りしめ市民プールに行ってかき氷を食べた


いつからか


父は私の敵になり


許す事の難しさを与えた


許さなくてもいいのかもしれない


でも頭の隙間を見つけては


許すすべを探した


赤の他人なら無視をすればいい


友達なら上手くかわせばいい


でも血が半分同じだからこそ


許す難しさを知る


ようやく許すと言うより


折れるのが都合が良いこと


怒って不満をぶつけても間違いではないことをわかりはじめたのに


父は呆気なく逝った


いかにも父らしい


仲直りは出来ずじまいだ


でも


恨むことも当たることも出来ずに


許すしか出来なくなってしまった


ただの灰


でも最強な灰になった


心残りは有るだろう


でもこっちも心残りだから引き分けだね


続きはまた半世紀後

随分先に逝った母と犬も食わない話をしたらいい


家族なんだからさ…


兎に角これから自分でやってみるよ


たまにはゆっくりしてみたら?


今までありがとう




自由詩 ヒナゲシの頃 Copyright 伽茶 2009-06-17 11:44:23
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