同胞(はらから)
遊佐




 *
もしも…


この世の全てが
この掌すり抜けて行く風の内に
記憶を留めるのであれば
私は此処に居て
風を嗅ぎ
風を聴き
風を噛み
風を観て
ただそれだけを糧に暮らすだろう


 *
もしも…


神の手から解き放たれた意識の欠片が
百億の星から降り注ぐ光の姿を借りて
現れるのであれば
私は身を棄て
一枚の白い紙となり
文字となり
言葉となり
文章となり
永遠の内に一瞬を閉じ込めようと試みるだろう


 *
そして…


象、成す
全てのものに
輝きを観て

魂、懐く
全てのものの
意志を得て

同胞には愛を
流れる雲と
移ろう風には
停まる為の枝葉を捧げ

涯無き無限と果て無き永遠に
畏敬の念を捧げたならば、

土くれの底
静かに眠ろう

生まれ落ちた
六月の空の下

知り得たもの全てを留める五感の記憶を抱いて


そして…
同胞には感謝を捧げん。





自由詩 同胞(はらから) Copyright 遊佐 2009-06-16 22:04:03
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