憎めぬひと
恋月 ぴの

口喧嘩したとしても
仲直りの機会とか窺うでも無く
当たり前のように手を貸してくれる

たとえばそれは
洗濯物でふさがった両手のかわりになってくれたり
ちんちん鳴り出したやかんをコンロから下ろしてくれたり

何気なさに感謝だよね

ごめんねと謝る必要さえ無く
二人並んで夕餉の支度

いつになったら覚えられるのだろう
計量スプーンとか使うでもなく
指先加減は程良い加減
我が家秘伝の味付けは私たち家族の心にしみる

母には派手かなと首を傾げたエプロンいつの間にか馴染んでいて
馬子にも衣装とはこの事かと不遜なこと思ってみたりもした

冷奴に散らすきざみネギは大雑把すぎるから
狭いベランダの打ち水もあわてんぼうの包丁使いで
なんでだろう
まだまだ半人前だねと思われているはずなのに心弾ませ蛇口を捻る





自由詩 憎めぬひと Copyright 恋月 ぴの 2009-06-16 20:11:35縦
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