かつての響き
照留 セレン

健康な足音は一昨年の写真の向こうに逃げて行ってしまった

固まった笑顔は癖
すっかり 乾いてしまって
私の喉はもう唄わないのです

ドとレとミとファとソとラとシ
それぞれの変と嬰
舞台の上で響かせたのは昨日のようですが

振り返るたびに
涙が零れそうになるから
目を閉じたまま空を仰いだ

泣きたくなるのが分かってるのに
過去に触れたくなるのは
一番きれいだったものがそこにあったからでしょう


自由詩 かつての響き Copyright 照留 セレン 2009-06-15 20:33:30
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