プラトニック シーサイド
こしごえ

私はいつになく 私であった。
ぽっつり、と何者かが着地した
灯るように暗く冷え切った脳裡に
明滅する、えたいの知れぬ

記憶でみたされた浴槽に身を沈めれば
水平線で限られた空の
青い深さへ 死を
おもう重心が、岸辺にかたむく
翻る雲に、ひんやりと濡れる

水。水にそういのち
約束の時を待ち続ける
ほほえみ
永遠の接吻を

未来は終らないか
さざなみに反射する日の光
くりかえしくりかえし
思い出せないで素肌を洗われる

いずれ
流水の果てで 立ち尽す
誰もかれも心の深淵に
限りある明日を
夢みながら
ここにいる、私








自由詩 プラトニック シーサイド Copyright こしごえ 2009-06-15 07:50:03
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