[紫陽花]
東雲 李葉

願いは滲んだ空より暗く汚れた考え。
ありえないと分かっていても信じずにはいられなくて。
本当にそんな人だったらきっと想いもしなかっただろうに、
そんな人であることを心の隅で祈っている。
優しい色をした貴方。
そんな瞳で彼女を見ているの。
あるいは私が知らない顔で、
愛しい人に触れているの。
雨よ止まないで。私の姿を隠して。
すべてを洗い流してしまって。
手に入らないならいっそ全部消してしまって。
変わらぬ貴方に紫陽花の花を。
堅固な決意が揺らぎますように。


辛い道だと分かっていたはずなのに。
胸に渦巻く修羅や暗闇を振り切れない。
貴方が貴方じゃなかったらどんなに楽なことだったのか。
いいえ、例えどこにいても私は貴方を探し出してた。
きれいな色をした貴方。
そんな瞳で私を見ないで。
私のことなど知らないくせに、
優しい言葉をかけないで。
雨よ止まないで。私の心を濡らして。
すべてを洗い流してしまって。
出来れば彼の気持ちも何もかも。
揺らがぬ貴方に紫陽花の花を。
私の願いが叶いますように。


自由詩 [紫陽花] Copyright 東雲 李葉 2009-06-13 09:52:21
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