本のみずたまり
新崎

「私の部屋には本の海があるの」 
それは青くて透き通る綺麗な海で
触るととっても冷たかった

浜辺に腰かけて海を見る
彼女は僕を海に誘う
少し勇気を出して飛び込む僕

中はもっと綺麗だった
魚たちが楽しげに泳いでいる
「もっと深くに行こうよ」

僕たちは深く潜る
神秘的な光景が広がる
「ねぇすごいでしょ?」

彼女から海の水を分けてもらい
こぼさぬように僕の部屋に運ぶ
そして部屋の床に水を落とす

小さなみずたまり
みずたまりを覗き込むと
彼女の部屋の海と同じ光景が

それからみずたまりをよく覗き込む
いつでもそこには神秘があって
なんだか楽しくなるんだ

小さな小さなみずたまり
部屋の隅っこにあるみずたまり
僕の「本のみずたまり」


自由詩 本のみずたまり Copyright 新崎 2009-06-12 14:19:49
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