耐性
ふるる

空の背中に
茜色の翼が生えて
夜が終わる
オーケストラの余韻のように
薄れゆく星たち

ああおはよう
今朝のミルクはいつもより冷えて
そんなことが
秋へと読み進むセンテンス

明け方まで起きていたのは
ペルセウス座流星群を見ていたから
星がかすめ去った時
胸の傷が痛んだの
とても大切な人につけられた

これから
この傷のこと
何だと思って生きればいいかしら

夏には
陽が当たるほどに濃くなる
黒い影

秋には
ヴァイオリン弾きのようにまっすぐな
木立ちの切っ先

そういう風に思いたい
薄れゆく星のように
席を立つ観客のように
忘れてゆく傷にしてしまうことには

まだ
耐えることができない


自由詩 耐性 Copyright ふるる 2009-06-12 13:24:14
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