声と花
木立 悟





幾度も幾度も
二重を拭く
ぬぐうたびに
三重になる
星の生まれの
道すじになる


水を進む見えないもの
飛沫が花を描き
すぐに消える
すぐにすぐに
消えてゆく


低く遠い話し声が
雨のはざまを埋めてゆく
うたになり笑みになり
また声に戻りゆく
雪になり背になり
また 声になる


冬の花の空
つぶやきに沿い
あるものは落ち
あるものは昇り
曇のしずく
曇のかたむきにくりかえす


呼ぶものがあり
歩いている
ふと呼ぶものが消え
歩いている
拙くまだらな音が降り
歩む後へ 歩む先へ咲いてゆく






















自由詩 声と花 Copyright 木立 悟 2009-06-12 10:16:11
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