スカートの中は闇
宮野

わからなくなってしまった
デリートキーを連打すれば全てやり直せるのだと思っていた
赤い口紅を纏ったくちびるが「ショウジョヲソツギョウセヨ」と言ったのは九日前の事で
わたしはそれが日本語なのか英語なのかそれとも宇宙人が使う言葉なのかさえわからなかった

あのとき揺れるスカートのひだを引っ張ってしまえばよかったのかもしれない
屋上は教室や廊下などとは次元からすでに違っていたらしい
舞い踊る紺色のスカートはそのまま真青の空にまで届いてしまいそうだった


 胸元の赤いリボンは嫌い
 あのくちびるの色とよく似ているから
 しゅるる、とほどいた
 それからスカートを踊らせる風にのせた
 すぐに赤は視界から消え去って
 いった



溜まりに溜まった涙の粒は時計の針が十二をさすと共に流れ出した
針が三回目に十二をさしても十七回目にさしてもずっとずっと止まらなかった






自由詩 スカートの中は闇 Copyright 宮野 2009-06-11 21:08:42
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