090611
○を書きなさいと言われて
ちびた鉛筆を取り上げる
年老いた今は
ダンガーバルブのように
安定した放電が望めない
ではなくて
ダガーナイフのような
威力がないと
書き直す
鉛筆は軟らかくそれを受け入れる
外貨割り当ての時代
無理して購入した
高級な舶来受像機
修理に修理を重ねて
50年
いよいよお払い箱ですと
デジタル化の日を指を折って待つ
チューナーをつなげば
まだ使えますと申し上げたが
もういいです
真空管も惚けていて
なかなか同期が取りにくく
番組を変える毎に
調整をし直さなくてはなりません
リモコンも付いておりませんし
面倒ですよと
柔らかい笑顔でおっしゃる
それでは
明日
軽トラで
引き取りに伺います
なにがしかの現金を用意しておいてくださいとは
言いにくかったが
規定料金は頂かないと私が可哀相な人になるので
2,835円を容赦なく頂いた
拙い日誌を最後まで読んでいただきありがとうございました。
切れた!切れた!
定期が電球がガソリンが真空管が磁電管が進行波管が
買ったばかりの
ガンダイオードもいかれた今日は
何でもかんでも駄目になるから
テレビを見るのも諦めて
アルバイトの
新聞配達に出かけます
ブラーヴィ!
「poenique」の「即興ゴルコンダ」投稿作、タイトルは、こさん。